前に
「ろいやー頭の体操〜武富士の自己株式取得(続きの補足)」というエントリーで書いたのですが、上場株式の売買については、いわゆる
「1/3ルール」というものがあり、買付後の持株比率が(特別関係者も含めて)1/3超になる場合の「市場外取引」は必ず公開買付によらなければならないことになっています。
ここで問題なのは、
どこまでが「市場取引」かということで、学者は勿論、実務家の間でも議論のあるところです。古くは「クロス取引」について
形式的には市場取引であっても、
実質的には市場外取引ではないか?という形で、いかにも法律家にしか通じないような論理で色々な議論があったところです。
その後、商法改正で自己株式取得制度が導入され、それ以後は、専ら自己株式買付について「市場取引」性が論じられてきました。その到達点が、現在の取扱であるところの
事前公表型終値立会外取引(ToSTNeT-2)の非クロス型は認めるというものでした。(ToSTNeTについては
こちら(東証HP)を)
公開買付の文脈では実務家の間でも見解は必ずしも一致していませんでしたが、比較的多くの弁護士事務所や証券会社の見解は、
自己株式取得の場合と同様にToSTNeT-2の非クロス型については許容され得るが、それ以外の取引については、
価格優先・時間優先の原則が適用されない、あるいは、事実上第三者が取引に参加することが不可能といった問題があり、実質的に「市場外取引」とみなされる可能性があるというものでした。
………というわけで、実務家の間では公開買付を用いない1/3超の取得は極めて難しいという認識が一般にあったわけです。
で、話題のライブドアは、この点、どうしているかというと、
プレスリリースで堂々と「
ToSTNeT-1による時間外の市場内取引」であることを開示しています。
おそらく、今までにも余り表に出ないような形でToSTNeT-1を使って公開買付規制を回避するということはあったのではないか(これまでは規制官庁の目にとまらなかった)という気もするのですが、ここまで正面からTOB規制を回避する形でやられてしまうと、これは
現在のTOB規制の制度設計に対する挑戦です。
元々、日本のような形の強制公開買付制度が妥当かどうかは大いに議論があるところですが、ToSTNeT-1であればOKということになれば、実質的には上場会社の支配権移動に関するこれまでの実務の悩みは意味がないことになります。
というわけで、今回のライブドアの株式取得は証券取引法的観点からも、かなりアグレッシブで注目に値するものです。これが事実上認められるということになれば、
今後の日本の上場会社の支配権譲渡の実務は、がらりと変わってしまうかもしれません。
その意味で、所轄官庁である金融庁、あるいは証券取引等監視委員会や東証がどのように対応するのかも注目したいところです。
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