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発行体のコール・オプション
今回のMSCBでは、発行体が額面金額に対して107〜103%で償還できる随時償還(コール)オプションを有しています。(条項の詳細は、こちらのプレスを御参照下さい)
ということは、「理論的」には、これが引受側のペイオフの上限になるわけです。何故って?・・・「理論的」には、引受側のペイオフがこれを上回ることになった場合には、会社側は償還オプションを行使してしまうからです
(・・・早くも書いていて虚しさが・・・)。
- 経営者による高い持株比率
ライブドアの既存株主の筆頭といえば・・・もちろん、堀江氏です。
既存株主に不利な形でMSCBが用いられると、一番不利益を受けるのは誰かといえば・・・これも、もちろん堀江氏です。しかも、貸株してますから、いち早く売り抜けるなんてこともできません。
・・・ということは、堀江氏が「合理的」であれば、まさか既存株主に不利になるようなMSCBなんか出すわけがありません
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- 相場操縦は犯罪です
多くの方が、堀江氏が某証券会社に貸株をしているということは、某証券会社は借株を売り浴びせて値を下げたところで転換するつもりではないのか、という御指摘をしています。
しかーし、
なんと!証券取引法は、相場の変動を目的とするような行為を「相場操縦」として刑罰をもって禁止しています(159条2項)。それだけではありません、借株の売り付けを含めて「空売り」については、投資者保護の観点から、不当な価格形成の要因にならないように特別の規則が設けているわけです(162条参照)。その上、証券会社には普通の市場参加者には課されない厳しい規制が課されているわけです。
特定の銘柄の有価証券・・・について、実勢を反映しない作為的相場を形成させるべき一連の有価証券の売買取引・・・をする行為・・・
勿論、自分の持っているMSCBの転換価額を下げるために現株を多量に取引するなんて、いや、とても、とても・・・
- 「著しく有利な価額」のCBの発行は取締役会決議ではできません
しかも、商法上、「著しく有利な価額」のCB(代用払込型非分離型新株予約権付社債)には株主総会の特別決議による承認が必要です。
・・・ということは、今回は株主総会決議なんかとっていないから、引受人に有利じゃない、ってことですね!(・・・今日は、このへんでいいですか?・・・ちょっと眩暈が・・・)
・・・というわけで、冷静になって理論的に考えてみると、MSCBは何も問題ないわけですね!よかったぁ、さすが規制大国、日本。水も漏らさぬ立法ぶり!
現実って・・・
以下は、全く上とは関係ない独り言です。無理矢理、上の番号と対応させたり、絶対、しないで下さいね・・・いや、ほんとに。
- 。。。まあ、800億+金利の現金をどっかから調達できればねぇ・・・あと、発行体が自分と相手のポジションを適格に把握(算定)できればねぇ・・・
- 合理的な「夢追人」って、聞かないのはなぜですかねぇ・・・まあ、3分の2以上は人のモノていう意識があるかどうかですよねぇ・・・命かけるのはいいんですけど、それなら100%子会社に戻してからした方が・・・
- ・・・つかまれば、ですけどねぇ・・・
- ・・・・・・ええ、っと・・・・まあ、私は依頼者に「念のため」で株主総会決議をとってもらいましたけどねぇ・・・まあ、私はToSTNeT-1もリスクが高い、という人ですから・・・いろいろな考えの人がいるんでしょうねぇ、世の中・・・
- ・・・いや、私はライブドアのがどうこうというのは分かりませんけど・・・っていうか、情報がなさすぎ・・・ライブドアと某証券会社の間に貸株を含めた原株取引に関して何らかの制限があるのかとかの情報がないと、普通は「悪い」方に考えてしまいますよねぇ・・・
「法治国家」の理想と現実
別にライブドアがどうのこうのじゃなくて、こういうことを考えると、いつも法律家として内心忸怩たる思いがあるわけです

。
TOB規制の話でも、元々速報的にライブドアのニッポン放送株式取得はTOB規制的には「アグレッシブ」(「違法」ではない(笑))といって
火を着けておきながら、最後は、「でも実際には誰も手を出せなさそう」とかいって
自分で火を消してしまうという、
マッチポンプ・・・ええ、そうですとも、皆さんご存知のとおり、これが弁護士の仕事ですよ(やけ)
実際、いくら立派な法律やルールがあって、それをきちんと解釈しようとしても、最後にサンクションが実現される仕組みがないと、結局、
「理論的には法的リスクは高いけど、実際はリスクが低い」なんていう
法律家の自己満足(あるいは妄想)の世界で完結してしまうわけですよ・・・
日本人って、元々、最終的に法的責任を問われなくても「警察に呼ばれるだけで恥」とか「法律に反するということを考えるだけで、恐ろしい」という意識があって、それをベースに「村八分」とか「勘当」とか生活の基盤となる「私」のネットワークの遮断という効果的なサンクションがあったので、裁判とか行政罰といった「公」による法の実現の必要性が乏しかったところがあるような気がします
(・・・このあたり、川島先生の本とか読むといいんだろうけど・・・)。
今でも、一般社会では、そういうのってある程度機能していると思うのですが(なので、アメリカみたいに何でも訴訟にいかなくてもいい)、経済活動に関しては、規模も範囲もが拡大すると、それだけでは駄目だと思うんですよね・・・
結局、ルールを守ったり、ルールが守られることを前提に行動した人が損をしたり、損をするんじゃないかという不安が広まっちゃうと、合理的な経済活動なんて成り立たないわけです。
今回のライブドアの件でも、ルールがきちんと守られている状態なら、MSCBというだけで、そんなにセンシティブになる必要はないはずなのに、これだけ話題になると、そうした悲観的な観測(思惑)だけで、株価下落シナリオが実現しちゃうという、「嘘から出たまこと」みたいなことになってしまうんではないかと・・・
「理想と現実は違う」というのは何かシニカルでかっこいいし、その差を使ってひと儲けなんていう考え方もあるのかも知れませんが、全体的にみれば、単に経済活動に要する取引費用を増加させているだけで、パイは細っていくような気がするので(「
取引費用の経済学」について興味がある人は、こちらをどうぞ)、何かねぇ・・・
・・・実際、アメリカでは、ルールの均一化と実行いうことに神経質すぎるぐらい神経質になって、世界アメリカ化計画
(世界をアメリカにしてしまえー(分かるよね?))とか、アメリカの開示ルールを外国会社に強制適用したりしようとするわけです・・・そこまでいくのがいいのかどうかはともかく、日本の場合、自分の国のルールすら、ちゃんと守らせることができないのだとすれば・・・これって「やったもん勝ち」の世界だと思うんですよね・・・・
アメリカなみとは言いませんが、もう少しルールの実現にエネルギーを使わないといけないんじゃないですかねぇ・・・
ああ、なんか愚痴っぽくなってきた・・・・今日はこのへんで
<参考ブログ一覧>
関連で拝見したエントリーを自分のメモ代わりで挙げておきます(とりあえずMSCB関連のことを書いているもののみで、順不同)。TBを頂いた方、本当にありがとうございます。
[4753] ライブドア [Read More]